クラウド型ビジネスフォンが全てわかる記事|仕組み・メリット・注意点
クラウド型ビジネスフォンを導入すると、従来のビジネスフォンより何倍も電話業務が効率的になります。
場所の制限なく、スマホで通常の電話業務ができるほか、通話料も抑えられます。
しかも工事不要で導入ハードルが低く、気軽に利用開始できるのも魅力です。
この記事では、クラウド型ビジネスフォンについて以下の4点を取り上げます。
- クラウド型ビジネスフォンと従来のビジネスフォンとの違い
- クラウド型ビジネスフォンが優れている8つの点と4つの注意点
- クラウド型ビジネスフォンの費用相場
- おすすめのクラウド型ビジネスフォン3選
現状の電話業務に不便を感じている方に必見の内容ですので、どうぞ最後までご覧ください。
この記事のもくじ
この記事の監修者
この記事の監修者 登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:
工事担任者(AI・DD総合種)
/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
クラウド型ビジネスフォンとは
クラウド型ビジネスフォンは、「クラウドPBX」と呼ばれる次世代の電話システム。
従来のビジネスフォンと比較して、クラウド型ビジネスフォンは機能面に優れており、画期的なシステムと言われています。
では早速、システムの全体像を知るために以下のポイントを徹底解説します。
- どのような仕組みで構成されているか
- 従来のビジネスフォンシステムとどのように異なるか
クラウド型ビジネスフォン(クラウドPBX)の仕組みと特徴
「クラウド型ビジネスフォン(クラウドPBX)」は、従来はオフィス内に設置するビジネスフォンの主装置(PBX)をクラウド化し、インターネット上で通話・通信を行う電話システムです。
主装置はインターネット回線で電話機と接続され、
クラウドPBXの最大の特徴は、この主装置がクラウド上にあることです。
つまりインターネットを通して、主装置の役割をするサービスが提供されます。
クラウドPBXの基本についての詳細は、以下の記事よりご覧ください。
従来のビジネスフォンとの違いは「主装置の場所」と「回線の種類」
クラウド型ビジネスフォンと従来のビジネスフォンの主な違いは、次の2点です。
(※ここでいう従来のビジネスフォンは、昔ながらの「レガシーPBX」を指す)
- クラウド型ビジネスフォンは「クラウド上」
- 従来のビジネスフォンは「オフィス内」
■回線の種類
- クラウド型ビジネスフォンが「インターネット回線」
- 従来のビジネスフォンは「電話回線」
従来のビジネスフォンの場合、物理的な主装置がオフィスに設置され、ビジネスフォン端末と電話回線で有線接続されます。
そのため、ビジネスフォン端末と主装置を使って発着信ができるのは、基本的に「オフィス内のみ」です。
一方クラウドPBXでは、主装置の機能がクラウド上にあり、電話に使う端末をインターネット回線で接続します。
そのため、オフィス内に限らずインターネット環境さえあればどこでも主装置を利用して発着信が可能です。
またビジネスフォン端末だけでなく、スマホやタブレット・PCなどを電話機として利用できる点も大きなメリットです。
クラウド型ビジネスフォンが従来のビジネスフォンより優れる8つの点
クラウド型ビジネスフォンを利用すると、従来のビジネスフォンではできないことを実現可能です。
具体的な例として、以下の8つの点を、双方比較しながら解説します。
- スマホやタブレットをビジネスフォン代わりにできる
- 外出中の社員とオフィスの社員が内線通話をかけられる
- どこからでも会社代表番号で発着信できる
- 担当者の外出時に無料で転送取次ぎができる
- 一律料金で通話料の節約になる
- クラウド勤怠管理など電話以外の便利機能も使える
- 初期費用が安く工事不要で導入ハードルが低い
- 自社で設備の保守点検をする必要がない
スマホやタブレットをビジネスフォン代わりにできる
クラウド型ビジネスフォンでは、電話機の他にスマホやタブレットをビジネスフォン代わりにできます。
- スマホ
- タブレット
- PC
- IP固定電話機
これらの端末にクラウドPBX専用アプリをインストールすれば、ビジネスフォン端末として利用できます。
会社でこれらの端末を用意してもよいですが、社員個人のスマホやタブレットを利用しても問題ありません(BYOD)。
また「固定電話機を使わずスマホだけを電話機として利用する」といった使い方も可能です。
固定電話機や社用端末を買う必要がなくなれば、設備費の削減になります。
外出中の社員とオフィスの社員が内線通話をかけられる
外出中の社員とオフィスの社員が無料で内線通話をかけられるのも、クラウドPBXの利点です。
従来のビジネスフォンではオフィスに縛られていましたが、クラウド上の主装置にインターネットで接続することにより、場所に縛られず電話業務ができます。
たとえば、以下のようにさまざまなシーンで無料内線通話が可能です。
- 自宅とオフィス
- 外出先とオフィス
- 外出先同士
- 複数拠点同士
社員同士で外線通話をかける場面が少なくなるため、通話料削減を実現します。
どこからでも会社代表番号で発着信できる
クラウドPBXでは、どこからでも会社代表番号で発着信できるようになります。
外出先でもオフィスにいるかのように電話応対ができるため、着信を取り逃すことはありません。
またわざわざオフィスに戻らなくても、外出先から会社の代表番号で発信できるため、顧客や取引先への連絡も携帯番号からの発信にならない点も大きなメリットです。
クラウドPBXを導入すればオフィスを無人にすることがあっても、会社にかかってきた電話を取り逃さず、商談機会を失いにくいと言えるでしょう。
担当者の外出時に無料で転送取次ぎができる
クラウド型ビジネスフォンでは、担当者の外出時に無料で転送取次ぎができます。
もし外出中の担当者あてにオフィスへ着信があった場合、ボイスワープなどの電話転送サービスを使っても担当者へ転送できます。
しかし電話転送サービスを利用すると、一般的に転送料金が割高です。
しかしクラウドPBXであれば、「内線」で担当者に電話転送できるため、転送料がかからず、通話コストの節約になります。
一律料金で通話料の節約になる
さらに全国一律の外線通話料で、通信コストを節約できるのもクラウドPBXの魅力です。
アナログ回線やISDN回線を使った従来のビジネスフォンだと、電話相手の距離に応じて通話料が高くなりますが、クラウドPBXは全国一律料金です。
- 固定電話
8円前後/3分 - 携帯電話
16円前後/1分
遠方への外線をかける頻度が多いのであれば、導入のメリットは非常に大きいと言えます。
クラウド勤怠管理など電話以外の便利機能も使える
クラウドPBXでは、クラウド勤怠管理など電話以外の便利機能も使えます。
従来のビジネスフォンで使う発着信制御や保留・転送のコントロールなど、基本的な機能はクラウドPBXでも使用可能です。
加えて、クラウドPBXでは以下のような機能が提供されていることがあります。
クラウドPBXの機能の詳細は、以下の記事よりご確認ください。
初期費用が安く工事不要で導入ハードルが低い
初期費用が安く、工事不要で導入ハードルが低い点もクラウドPBXの特徴です。
詳しくは後述しますが、初期費用は、安ければ無料で済みます。
またクラウドPBXのサービスやオフィスの通信環境によっては、最短即日で利用開始可能です。
利用端末の増減もWeb上から設定できるため、導入や運用の手間が少なく気軽に申し込めます。
自社で設備の保守点検をする必要がない
クラウド型ビジネスフォンは、自社で設備の保守点検をする必要がありません。
というのもクラウドPBXは、ベンダーが用意するクラウド上の主装置を利用するため、メンテナンスは基本、ベンダーに一任できます。
そのため、主装置やアプリのアップデートを自社で行う必要はありません。
端末やWi-Fiルーターなど、自社の通信機器・設備は自社管理が必要ですが、基幹設備については不要なので、保守点検にかかる人件費や手間を削減できます。
クラウド型ビジネスフォンの4つの注意点|対策もご紹介
クラウド型ビジネスフォンには、以下のような注意点があります。
- 既存の会社代表番号を使えなくなるケースがある
- サービスにより通話音質の優劣がある
- 初期費用は安いが月額利用料がかかる
- サービスによっては光回線の契約が必要な場合がある
これらの注意点について、対策を含めつつ解説します。
既存の会社代表番号を使えなくなるケースがある
注意点の一つは、既存の会社代表番号を使えなくなるケースがあることです。
クラウド型ビジネスフォンには、大きく以下の2タイプがあります。
- 光回線を利用するタイプ(オフィス内に機器の設置が必要)
- フルクラウド型(アプリでサービスが完結するタイプ)
光回線を利用するタイプでは、既存番号を引き継げる可能性が高いです。
ただしフルクラウド型は、一部のサービスを除き引き継げない恐れがあります。
そのため、既存番号を引き継ぎたい場合は、光回線を利用するタイプを選ぶのがおすすめです。
番号引き継ぎに関しては、以下の記事をご参照ください。
サービスにより通話音質の優劣がある
クラウドPBXは、サービスにより通話音質の優劣がある点にも注意が必要です。
インターネット回線を利用するクラウドPBXは、ノイズが発生したり音が途切れたりと、通信環境によっては音質に多少の乱れが出ることがあります。
とはいえ万が一ネット環境が一時的に悪くなり、少し音質が乱れたとしても、日常的に電話をしていてトンネルの中で途切れやすくなるのと同じような感覚ですので、さほど気にならないレベルです。
またもしも通話品質が気になるのであれば、実際に「トライアル」などを活用して使い勝手を体験することをおすすめします。
初期費用は安いが月額利用料がかかる
クラウドPBXは初期費用は安くても、月額利用料がかかる点にご注意ください。
オプション機能を付けると、基本料金はより高くなり、ライセンスを増やせばその分ランニングコストがかさみます。
とはいえ従来のビジネスフォンにおいても、購入ではなくリース契約であれば毎月設備料金がかかります。
また購入であっても、保守点検に一定の費用や手間がかかるでしょう。
さらに前述のとおり、クラウドPBXを導入すると内線通話をかけられる頻度が増えるほか、通話料自体が安いです。
そのため、運用コスト全体で見れば安く収まる可能性が高いと言えます。
サービスによっては光回線の契約が必要な場合がある
さらにサービスによっては、「光回線」の契約が必要な場合があります。
具体的には、フルクラウド型ではなく光回線利用タイプのクラウドPBXを契約する場合、光回線が必要です。
既にオフィスへ光回線が引かれていれば、簡単な設定のみで済む可能性がありますが、そうでなければ新たに敷設する必要があり、利用開始までに1ヶ月程度かかるでしょう。
また光回線があってもNTT系光回線以外であれば、クラウドPBXのベンダーが未対応である可能性があります。
その場合、光回線をNTT系のものに変更する必要がありますが、解約時に違約金が発生する恐れがあるため注意しましょう。
対策としては、以下の点が挙げられます。
- 違約金負担のキャンペーンがある光回線を契約する
- 光回線を変えるのが難しい場合は、フルクラウド型のクラウドPBXを契約する
フルクラウド型は一部サービスを除いて既存番号は使えませんが、新規番号で問題なければ、利用価値が高いです。
クラウド型ビジネスフォンが活躍する企業の特徴まとめ
ここまで解説してきた点を踏まえると、クラウド型ビジネスフォンは、以下のような企業に適したサービスと言えます。
- 外線発信が多い企業
・外出先から代表番号で発信が可能なため。
・全国一律料金で通話料が安いため。 - 外出中の社員と連絡することが多い企業
・社員間の通話がどこでも無料内線通話になるため。 - オフィスが無人になりやすい企業
・外出先でスマホに無料同時着信させられ、電話を取りこぼししにくいため。 - オフィス新設や移転を見据えて柔軟な電話システムを選びたい企業
・導入費用が安く導入スピードも早いため。
・必要な設定の多くをWeb上で完結できるため。 - テレワークへのシフトをすすめたい企業
・従来オフィスで行ってきた通常電話業務をどこでも同様に行えるため。 - BCP対策を策定したい企業
・緊急事態が発生して出社できなくても、自宅から電話業務が行えるため。
・主装置がオフィス内になく、災害時に設備の物理的な損害が軽減されるため。
このようなケースに当てはまる場合は、クラウドPBXの導入をご検討されるよう、おすすめします。
おすすめのクラウド型ビジネスフォン3選!特徴や費用をご紹介
ここからは、すすめのクラウド型ビジネスフォン3選として、以下のサービスをご紹介します。
- 『OFFICE PHONE』(株式会社ベルテクノス)
- 『03plusエンタープライズ』(株式会社グラントン)
- 『MOT/TEL』(株式会社バルテック)
いずれのサービスも導入ハードルが低く、人気の高いサービスです。
それでは各サービスの詳細を見ていきましょう。
『OFFICE PHONE』(株式会社ベルテクノス)
『OFFICE PHONE』は、株式会社ベルテクノスが提供するクラウドPBXです。
OFFICE PHONEは19年間の開発研究で培った高品質なサービスで、導入累計数は2万社を超えています。
また通話品質は、総務省の音質基準では最高位の「クラスA」を取得しているため、通常の固定電話と同等の音質で通話できます。
その他にも、以下のような特徴があります。
- 最短即日のスピード導入
- ライセンス料金が1端末あたり98円~で低コスト
- 業務効率化に役立つ便利機能が多数
- オフィス機器全般に関する相談もワンストップで依頼可能
項目 | 詳細 |
---|---|
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 基本料金3,400円~、ライセンス料金98円~/端末 |
主な機能 | ・通話録音 ・タブレット受付システム ・クラウド勤怠管理 ・インターネットFAX ・IVR(自動音声対応) ・CTI(顧客情報表示) ・名刺管理 ・グループウェア など |
『03plusエンタープライズ』(株式会社グラントン)
(画像引用:『03plusエンタープライズ』株式会社グラントン)
『03plusエンタープライズ』は、株式会社グラントンが提供するクラウドPBXです。
クラウドPBXだけでなく、電話回線もパッケージ化してサービスを提供しているのが特徴。
現在オフィスで使用している回線について心配せずサービスを利用できるため、できるだけ簡単に導入したい方にとって魅力のサービスです。
その他にも、以下のような特徴があります。
- 専任コンシェルジュが導入前から運用までサポート
- 導入実績5万回線以上
- 最短1営業日で開通
項目 | 詳細 |
---|---|
初期費用 | 15万円~ |
月額費用 | 基本料2万1,280円~ |
主な機能 | ・クラウドFAX ・時間外アナウンス ・10分かけ放題 ・Web電話帳 ・IVR ・通話録音 など |
『MOT/TEL』(株式会社バルテック)
(画像引用:『MOT/TEL』株式会社バルテック)
『MOT/TEL』は、株式会社バルテックが提供するクラウドPBXです。
自社開発歴15年以上の安定したサービスで、特許庁やマルコメ株式会社など、多数の企業や官公庁での導入実績を持ちます。
kintoneや楽テル・ZOHO・NEXT ENGINEなど、各種CRM・販売管理システムと連携できるのも魅力です。
ほかにも以下のような特徴があります。
- 日本全国のエリア専用データセンターに通信を分散させるため安定的な通話が可能
- 基本料金とライセンス料金がパッケージ化したシンプルな料金体系
- 最短3営業日開通
項目 | 詳細 |
---|---|
初期費用 | 29,800円~ |
月額費用 | 3,980円~ |
主な機能 | ・専用チャット ・通話録音 ・タブレット受付システム ・IVR(自動音声対応) ・CTI(顧客情報表示) ・CRM連携 など |
クラウド型ビジネスフォン(クラウドPBX)のよくある質問と回答
クラウド型ビジネスフォンについて、よくある質問をまとめました。
サービスについての理解を深められるいい機会ですので、最後まで必見です。
質問①導入にはどれくらいの費用がかかりますか?
クラウドPBXの導入費用は、ほかのビジネスフォンシステムと比べて安価です。
相場はおおよそ以下のとおりです。
- 「クラウドPBX初期費用(サーバー登録やシステム設定など)」
⇒1~10万円ほど - 「電話機」
⇒無料
初期費用はベンダーにより異なりますが、なかには無料のところもあります。
電話機は、社員個人のスマホやタブレット・PCなどを利用すれば実質無料です。
IP固定電話機を利用する場合は、1台2~3万円を想定しておけば良いでしょう。
質問②ランニングコストはどのくらいですか?
ランニングコストの相場は、おおむね以下のとおりです。
- 「月額利用料金」
⇒1,000~2,000円前後/回線 - 「オプション利用料金」
⇒1,000~5,000円
月額利用料金も、ベンダーによって異なります。
料金体系は、端末のライセンスを含めて一括請求の場合もあれば、基本料金とライセンス料金が分かれている場合があります。
オプション利用料金は機能により異なり、多くの機能を追加するほどトータルのランニングコストが高くなるためご注意ください。
質問③従来のビジネスフォンと併用はできますか?
従来のビジネスフォンとの併用は可能です。
ただし併用するには特定の機器が必要となりますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
まとめ
クラウド型ビジネスフォンは、クラウド上の主装置(PBX)を使う電話システム。
従来のビジネスフォンとは異なり、主装置の機能がクラウド上にあるイメージですので、インターネットさえあればどこでも利用できるのが大きな特徴です。
それによって会社の電話業務がオフィスに縛られず、社員同士の内線通話がどこでも可能になるなど、多くのメリットがあります。
また少しでもクラウドPBXに興味を持たれた方は、『OFFICE PHONE』の無料トライアルのご活用をおすすめします。
設定時間はわずか5分、オンラインで簡単に音質や使い勝手を体験していただけるので、まずはぜひお気軽にお問い合わせください。