クラウドPBXで固定電話番号をそのまま使う方法|LNPの条件とは
ビジネスフォンに代わる新しい電話サービス「クラウドPBX」の導入時に気になることの一つは、「利用可能な電話番号」でしょう。
電話番号は顧客からの問い合わせや各種手続きに影響するため、希望通り使えるかどうか把握しておくことが重要です。
そこで結論から言うと、クラウドPBXでは既存の固定電話番号をそのまま使うことも、新規の番号を取得することも可能です。
ただし、電話番号の引き継ぎには条件があるため注意しなければなりません。
本記事では、クラウドPBX導入時に固定電話番号を引き継ぐ条件を徹底解説。
さらに新規取得可能な番号やおすすめのクラウドPBXサービスもご紹介します。
この記事のもくじ
この記事の監修者
この記事の監修者 登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:
工事担任者(AI・DD総合種)
/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
クラウドPBXは固定電話番号そのままで使える!まずは基本を解説
クラウドPBXで利用可能な電話番号について知るうえで、簡単にクラウドPBXの仕組みや特徴を振り返っておきましょう。
仕組みや特徴が分かると、電話番号の利用可否についても理解しやすいです。
なおこの記事では、「固定電話番号=03や06など市外局番で始まる番号(以下、市外局番)」と定義して解説します。
固定電話番号は、従来はアナログ回線の電話番号を指すのが一般的でした。
しかし現在では、光電話でも市外局番を利用可能なため、どちらの場合も市外局番なら「固定電話番号」とします。
そもそもクラウドPBXとは?特徴・仕組みを解説
クラウドPBXとは、クラウド上にある「主装置」を利用して電話業務が行えるシステムです。
主装置はビジネスフォンの発着信をコントロールする装置で、従来はオフィスに設置されてきましたが、クラウドPBXではクラウド上に存在します。
クラウド上にあるため、インターネットを介してどこからでも主装置にアクセスできるのが、クラウドPBXの大きな特徴です。
また専用アプリを使うことで、スマホやタブレット・PCをビジネスフォン端末のように使えるのも、クラウドPBXの利点です。
この仕組みや特徴を活かすと、従来のビジネスフォンでは難しかった以下のことが実現します。
- オフィス内外のどこでも社員同士が内線通話をかけられる
- 外出先や自宅で会社代表番号での発着信ができる
クラウドPBXの仕組みやメリットについては、以下の記事でさらに詳しく説明しております。
クラウドPBXで利用できる電話番号の種類とは?
クラウドPBXでは、主に以下の電話番号を利用できます。
- 03・06などの固定電話番号(市外局番)
- 050番号
050番号は、IP電話に付与される電話番号です。
なお、0120や0800などの着信課金電話番号(いわゆる「フリーダイヤル」)もクラウドPBXで使えます。
しかしこれらの番号は単体で使用するのではなく、通常、固定電話番号にひもづけて使用するため、この記事では割愛します。
フリーダイヤルについては、詳しくは以下の記事で解説していますのでご参照ください。
固定電話番号の特徴
03・06などの固定電話番号には、以下のような特徴があります。
- 音質が優れている
- 社会的信用がある
固定電話番号は、音質が非常に優れています。
実際総務省は、品質基準に優れた電話サービスにしか、固定電話番号の使用を許可しません。
具体的には、「クラスA」と評価される電話サービスのみが許可されています。
さらに固定電話番号は、社会的信用が高いのも特徴です。
市外局番があるとオフィスが特定の地域に存在する証明になるため、信用を得やすいです。
現在では050番号や090など携帯電話番号を利用するのも当たり前ですが、これらの番号と比べて「固定電話番号=信頼の証」とする風潮は残っています。
050番号の特徴
050番号には以下の特徴があります。
- 音質は固定電話番号に劣る場合がある
- 社会的信用も固定電話番号ほどない
050番号は、固定電話番号と比較して音質がそこまでよくありません。
前述の総務省による評価で、「クラスC」に分類される電話サービスでも取得できる番号です。
「ひどい音質」というわけではありませんが、クラウドPBXのベンダーによっては、多少音質が劣る050番号を取得する場合もあります。
さらに、信頼性も現時点ではあまり高くありません。
総務省が管理するれっきとした番号ですが、固定電話番号と比べると、まだまだ050番号に不信感を抱く人は少なくないでしょう。
ここまでの点をまとめると、固定電話番号は音質・信用性ともに050番号より優れている、ということです。
電話番号はナンバーポータビリティ(LNP)が可能!
クラウドPBX導入にあたり気になるポイントの一つが、「現在の固定電話番号を使えるか?」という点です。
結論から言えば、既存の電話番号を引き継ぐことは可能です。
「番号ポータビリティ(LNP)」というサービスを使うと、いま使っている固定電話番号を、異なる通信会社間で引き継ぐことができます。
番号ポータビリティを実現するには、いくつかの条件がありますが、この点については後述します。
現在の固定電話番号を引き継ぐメリット
現在使っている固定電話番号を引き継ぐことには、次のようなメリットがあります。
公式サイトや名刺・パンフレットなどを修正せずにすむ
いまの番号を引き継ぐことができずに新しい番号を取得すると、既存番号が記載されている箇所をすべて修正しなくてはなりません。
公式サイトのみであればまだしも、各種資料や名刺・納品書などすべて直すとなると、かなりの手間になるでしょう。
しかし、番号の引き継ぎをすれば、そのような手間はありません。
顧客や取引先に周知せずにすむ
新規番号を使うとなると、会社の代表番号を登録している顧客や取引先に周知しなくてはなりません。
いち早く、それも漏れなく周知しなければ、顧客や取引先とのやり取りに支障が出て、ビジネスに大きな打撃を与える恐れがあります。
さらに「相手が気づかずに古い番号へ電話をかけてしまって二度手間になる」という事態も防げます。
現在の番号で登録している各種サービスへの通知が不要
新しい番号を使う場合、役所や商工会議所・銀行や保険会社・リース会社などに番号変更の通知をしなくてはなりません。
わざわざ多方面で電話番号の変更手続きを行うのは大きな手間になるため、よっぽどのことがない限り、いまの番号を引き継いだ方が良いです。
オフィス新設や新しい事業の立ち上げなど、新規番号でもかまわないケースは別ですが、一般的には既存番号を継続利用するほうがベターです。
クラウドPBXで固定電話番号を引き継ぐ条件は主に2つ
クラウドPBXで固定電話番号を引き継ぐには、条件をクリアする必要があります。
主な条件は、以下の2点です。
- 固定電話番号が番号ポータビリティに対応していること
- クラウドPBXが番号引き継ぎに対応していること
それぞれの条件を詳しく解説します。
【条件①】固定電話番号が番号ポータビリティに対応していること
クラウドPBXで固定電話番号を引き継ぐ条件の一つは、固定電話番号が番号ポータビリティ(LNP)に対応していることです。
実は、すべての固定電話番号が番号ポータビリティに対応しているわけではありません。
どのような固定電話番号が引き継ぎ可能かというと、以下の番号です。
- NTT東西で取得したPSTN番号(アナログ回線やISDN回線などの固定電話番号)
- NTT東西からほかの通信会社に引き継がれたあとに、NTT東西へ戻されたPSTN番号(「アナログ戻し」された番号)
- NTT東西からほかの通信会社に引き継がれたあとに、さらに別の通信会社へ引き継がれたPSTN番号
少し複雑ですが、1~3のポイントは、NTT東西で取得したPSTN番号であれば、現時点でどの通信会社と契約していても番号を引き継げるという点です。
上記の点を図解すると、以下のとおりです。
○がついている矢印をご覧ください。
- NTT東西⇒KDDIなどPSTN番号の競争事業者
- NTT東西⇒KDDIなどIP電話(光電話含む)の競争事業者
- NTT東西⇒同じNTT東西のIP電話(光電話含む)の競争事業者
番号ポータビリティはいろいろ複雑であるため、詳しくはクラウドPBXのベンダーにお問い合わせください。
↓電話番号引き継ぎについてご不明な点は、OFFICE110にお問い合わせを↓
番号ポータビリティに対応していない番号とは?
理解を深めるために、番号ポータビリティに対応していない番号についても見ておきましょう。
- NTT以外の会社で取得したPSTN番号
- ひかり電話専用番号(NTT東西が提供する光電話の固定電話番号)
さきほどの画像で×がついている矢印をご覧ください。
KDDIなど、NTT東西以外の事業者で取得したPSTN番号は、引き継ぎ不可。
さらにNTT東西のひかり電話専用番号は、光電話用の番号であるため、同じNTT東西でもPSTN番号には流用できません。
ただし以下のケースでは、ひかり電話専用番号を別の通信会社へ引き継ぐことができます。
- NTT東西のひかり電話専用番号を光コラボ会社へ「転用」する場合
- NTT東西のひかり電話専用番号を光コラボ会社へ「転用」後、別の光コラボ会社へ「事業者変更」する場合
※光コラボ会社・・・NTT東西の光回線を使って通信サービスを提供する会社
これらのケースは番号ポータビリティではありませんが、本来、番号ポータビリティできないひかり電話専用番号を他社に渡せます。
いずれにしても、番号ポータビリティに対応していない固定電話番号を使っているのなら、クラウドPBXでは継続利用できません。
【豆知識】番号ポータビリティできる番号とできない番号がある理由
なぜ番号ポータビリティできる番号とできない番号があるのかというと、実は総務省や各通信会社の思惑が関係します。
総務省はすべての電話番号を管轄しており、通信会社(NTT東西やKDDIなど)に電話番号を割り当て、通信会社はその電話番号を使って、各種電話サービスを展開します。
ここで問題になるのが、NTT東西が受け継いだ固定電話番号を、競合の通信会社に引き継げるかどうかです。
もしも番号が引き継げず、必ずしも新しい番号を取得しなければならない場合、NTT東西から別の通信会社に契約を変えたくても踏みとどまる企業が多いのは言うまでもありません。
つまり番号の引き継ぎができない場合、通信会社の間で競争が進まず、NTT東西の独占状態になってしまいます。
市場に適正な競争があることを望む総務省にとって、これは問題です。
そのため2001年以降、PSTN番号をNTT東西からほかの通信会社へ引き継げるようになり、企業は柔軟に通信会社を選べるようになりました。
要は、NTT東西が一人勝ちするような事態を防ぐため、総務省がNTT東西の番号を番号ポータビリティできるようにしたのです。
【条件②】クラウドPBXが番号引き継ぎに対応していること
クラウドPBXで固定電話番号を引き継ぐ別の条件は、クラウドPBXが番号引き継ぎに対応していることです。
番号自体が番号ポータビリティに対応していても、契約するクラウドPBXのサービスが引き継ぎに対応していなければNGです。
具体的にどのようなケースが考えられるかというと、代表的なのが、アプリだけでサービスが完結する「フルクラウド型」のクラウドPBXを契約する場合でしょう。
詳細は割愛しますが、基本的に固定電話番号を引き継げるのは、光回線を引くことが前提のクラウドPBXです。
とはいえ、光回線の種類によってはベンダーが対応していない可能性もあります(NTT東西や光コラボ会社以外の通信会社で光回線を契約している場合など)。
この点についても複雑なところがあるため、詳しくは各ベンダーに確認するようおすすめします。
【補足】フリーダイヤルは可否を問わず引き継ぎ可能!
中には、「フリーダイヤル」を引き継ぎたい企業も多いでしょう。
結論から言うと、クラウドPBXでは現在のフリーダイヤルを利用可能です。
そもそもフリーダイヤルは、単体で使用する番号ではなく、固定電話番号(代表番号)と紐づけて使う番号です(下図参照)。
つまり紐づけ先の番号が引き継げるのであれば、そのままフリーダイヤルを継続すれば良いだけの話。
もしも番号が引き継げない場合は、フリーダイヤルの紐づけ先を、新規取得した番号に変えるだけで継続して使えます。
つまり、クラウドPBX導入後の固定電話番号が同じものでも新しいものでも、フリーダイヤルには影響がないのです。
フリーダイヤルに関する詳しい説明は、「【クラウドPBX】フリーダイヤルを最大活用!仕組み・メリット・注意点」もあわせてご覧ください。
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固定電話番号の引き継ぎが可能なのはもちろん、新規の番号取得も対応しています。
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- 通話品質
総務省の音声品質基準で最高クラスの「クラスA」を取得。従来のビジネスフォンと同様に快適に通話が可能です。 - 機能
従来のビジネスフォンで使う基本機能に加え、CTIやグループウェアなどさまざまな便利機能が充実しています。 - コスト
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まとめ
クラウドPBXでも、いま使っている固定電話番号を引き継ぐことができます。
番号ポータビリティに対応していることや、既存番号の引き継ぎに対応したサービスであることなど、一定の条件をクリアすれば、番号を変えずにすみます。
ただし既存の固定電話番号の引き継ぎは少々複雑なため、契約を考えているベンダーへ事前にご確認ください。
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