【クラウドPBX】3つの規制!総務省が悪用防止をする理由を徹底解説
従来のビジネスフォンに代わる新しい電話サービス「クラウドPBX」は、便利な故に総務省によって3つの規制を設けられました。
クラウドPBXを導入する企業も増えてきましたが、クラウドPBXの規制を知らずに導入をスムーズにできないケースも存在します。
固定電話番号をどこでも利用できるなどメリットが多いため、ひとつくらいは規制もあるだろうと思いませんか?
そこでこの記事では、クラウドPBXの3つの規制について詳しく解説します。
3つの規制の紹介から規制される理由とその対処法まで、この記事1つでクラウドPBXの規制について理解できるようにしました。
専門用語を用いずわかりやすく解説しているので、3分程度で読めます。
この記事のもくじ
この記事の監修者
この記事の監修者 登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:
工事担任者(AI・DD総合種)
/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
クラウドPBXの3つの規制とは?詳しく解説!
そもそもクラウドPBXとは、オフィス内のビジネスフォンに内線・外線・転送など、あらゆる機能をつなげる役割であるPBXをクラウド上(ネット上)に構築したもののことです。
PBXは「主装置」とも呼ばれ、社内のビジネスフォンに外線・内線を繋げることや転送機能など、さまざまな役割を担う装置のことです。
詳しくはこちら「【初心者向け】PBXとは?図解で分かる違い・機能・種類・選び方」
従来のPBXでは、オフィス内にPBX本体を設置して配線工事をする必要がありましたが、クラウドPBXではクラウド上(ネット上)にPBXを構築しているため、オフィス内に主装置の設置が不要になりました。
主装置をクラウド化することにより、インターネット環境さえあれば、場所を問わずどこにいても会社の電話応対が可能に。
具体的には、オフィスの外にいても会社の代表番号を使っての発着信や、離れた場所にいる社員同士の無料の内線通話ができます。
クラウドPBXの基本や仕組みが知りたい方は「【簡単図解】クラウドPBXとは?特徴・メリット・料金を徹底解説」をご覧ください。
では、ここからは本題であるクラウドPBXの規制概要と詳細な制限について解説いたします。
クラウドPBXの規制は、以下の3つともどれも押さえておくべき内容です。
- 緊急通報(110・119など)が使用できない
- 信頼がない企業は契約できない
- クラウドPBX用アダプターがないと市外局番が使用できない
1つずつ詳しくみていきましょう。
【規制1】緊急通報が使用できない
クラウドPBXでは、「110」や「119」など緊急時に使用する電話番号への発信はできません。
他にも、以下のような3桁の電話番号やナビダイヤルなどへも発信ができません。
- 104:番号案内
- 113:電話の故障を調べる
- 114:通話中か調べる
- 117:時報
- 118:海上事件の急報
- 177:天気予報
- 0570:ナビダイヤル
【規制2】信頼のない企業は契約できない
クラウドPBXを利用する際には、審査が必要です。
審査自体は早いメーカーで数時間、長いメーカーでも2営業日と早く終わります。
なぜならクラウドPBXは安価でいくつもの電話番号を入手できるという理由から、オレオレ詐欺をはじめ悪質な集団に利用されるケースが増加していたためです。
そのため、クラウドPBXでは信頼できる企業か否かをチェックされます。
チェック内容は、以下の3つの項目をチェックするメーカーが大半です。
- 自己破産の経歴
- 借金の有無
- 事業の実態
ただし過去に自己破産している場合や、事業を始めたばかりで実態を調査できるほどのものではない場合でも、審査に通ることが多いです。
あくまでチェックされる内容のため、よほどのマイナスなイメージや虚偽がなければ問題ありません。
【規制3】クラウドPBX用アダプターがないと市外局番が使用できない
クラウドPBXは、アプリのインストールとオフィスにクラウドPBX用アダプターを設置して導入するタイプが一般的です。
しかし中には、アプリのインストールのみで導入する簡易版のクラウドPBXも存在します。
クラウドPBX用アダプターを設置するタイプは、市外局番を含めた全ての固定電話番号を利用できます。
一方、簡易版のアプリをインストールするだけで利用できるタイプは、市外局番を利用できず050番号のみ利用可能と法律により制限されています。
そのため、用途に合ったクラウドPBXを選択する必要があります。
市外局番を利用したい場合は、誤って簡易版の050番号しか利用できないクラウドPBXを選ばないように注意しましょう。
なぜクラウドPBXに規制があるのか?2つの理由
クラウドPBXは便利すぎるが故に、悪質な行為にも使用されるケースや回り回って混乱を招くケースもあります。
そのため、3つの規制が制定されたのです。
3つの規制が制定された理由は、
- オフィスに不在でも固定電話番号で発信できる
- 長年信頼を培ってきた市外局番が使用できる
といった、2つのメリットが回り回って電話の受信者にとってはデメリットになるからです。
オフィスに不在でどこにいても電話できるから
クラウドPBXを導入すれば、オフィスにいなくても外出中に会社の固定電話番号で発信が可能です。
このメリットによって、
- テレワークに役立つ
- 業務効率のアップ
など、企業にとっては嬉しい効果が期待されますが、緊急通報時には非常に厄介な事件を引き起こす可能性があります。
なぜなら、外出中に会社の固定電話番号で緊急通報すると、受信した固定電話番号の地域性を確認して出動する、消防士や警察官が困惑するためです。
例えば電話では「〇〇の交差点近くで事故がありました」と場所を告げているのに、固定電話番号は会社のある位置を示しているので、消防隊員や警察官は事故の場所を探すことに惑わされ、到着が遅くなってしまうといったことがあります。
つまり、電話番号の地理的識別性に惑わされるが故に「【規制1】:緊急通報が使用できない」といった規制があるのです。
その他にも、どこにいても会社の固定電話番号で受発信できることは、クラウドPBXを導入する企業にとっては非常に便利ですが、利用者保護の観点からは問題があります。
例えば、「【規制3】クラウドPBX用アダプターがないと市外局番が使用できない」といった規制がなければ、オフィスを持たずスマホひとつで固定電話番号を利用でき、利用者の企業への信頼面で道徳的に問題があることです。
「市外局番があることで社会的に信頼できる企業だから商品やサービスを購入したのに、実はオフィスがない」となれば道徳的にいかがなものか?といった問題です。
そのため、オフィスにクラウドPBX用アダプターを設置することが市外局番を利用する条件になります。
長年信頼を培ってきた市外局番が使用できるから
市外局番には、長年地域に根付いてきた固定電話番号という認識が高いです。
その傾向は、高齢者の方へ特に当てはまります。例えば「03は東京」「06は大阪」といった風に、市外局番でほとんどの人がどこの地域の企業かを判断できます。
そのため、市外局番には高い社会的信頼性があるのです。
しかし、クラウドPBXで安価に市外局番が利用できるとその信頼性を悪用する団体が現れます。例えば詐欺集団が信頼性を獲得するために利用することで、市外局番という信頼できる番号からかかってきたため、電話に出て騙されるケースがあります。
つまり、容易に信頼できる市外局番を利用させないためにも「【規制2】信頼のない企業は契約できない」といった規制があるのです。
クラウドPBXの規制に企業ができる対処法とは?
クラウドPBXを導入する際、規制に困らない方法は非常にシンプルです。
【規制1】の緊急通報ができない場合は普段通りスマホで発信できるため、規制で困ることはないでしょう。なお、クラウドPBXはスマホにアプリをインストールして利用するため、業務中は常にスマホを所持してすぐに発信できる状況です。心配することはありません。
また【規制2】の企業の信頼においても、明らかに悪質なビジネスやマイナスイメージの経歴がなければ審査に通るので、審査の判断基準である「1.自己破産の経歴」「2.借金の有無」「3.事業の実態」の3つさえ意識しておけば心配無用です。
【規制3】の市外局番の利用条件については、一般的なクラウドPBX用アダプターを設置するタイプを選ぶことだけ注意してください。
まとめ
クラウドPBXは便利すぎるが故に以下のような3つの規制を総務省によって設けられました。
- 緊急通報(110・119など)が使用できない
- 信頼がない企業は契約できない
- クラウドPBX用アダプターがないと市外局番が使用できない
しかし、対策することでこのデメリットも解消することが可能です。
具体的には
- 緊急通報はスマホで発信する
- 契約審査は3つのチェック項目だけ意識する
- 市外局番を利用するにはアダプターを設置するタイプを選ぶ
といったシンプルな対処法を頭に入れておけば問題ありません。
3つの規制に注意したクラウドPBXの導入をお勧めします。